『愛を写す、君を愛すD』-5
ありがたいことに
余計な手間がはぶけたので
僕は昇降口へ向かうことにする。
携帯をパチンと閉じて
前の席のやつに
「じゃーな。」
と声をかける。
「おー!
新学期に山本ユリカとのこと報告しろよな!!」
スッカリ騙されてる一クラスメイトは
ニカッと歯を見せてひらひらと手を振る。
たいして仲良くもないのに
なぜ報告なんてしなければいけないのだろうか。
とか揚げ足をとるようなことを考えながら
僕は愛想笑いを浮かべて
教室を去る。
昇降口にはすでに山本ユリカの姿があった。
下駄箱にあるローファーを出して履き替えつつ
山本ユリカに声をかける。
「おまたせ。」
山本ユリカが振り返る。
と同時に違和感に気づく。