同窓会-2
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10年ぶりに再会した藤木は、あの頃よりずっと大人になっていた。
体型に合ったスーツを、バリッと着こなした全身からは、仕事が出来そうな男のオーラが漂っている。
程よく鍛えられ、あの頃よりも一回り大きくなった藤木の体は、彼をより精悍に見せていた。
見た目だけでなく、てきぱきとした口調、スマートでそつのない振る舞い…
そこにいる藤木は、あたしが知っている、高校の頃のシャイで不器用な藤木ではない。
卒業以来会うことのなかった10年間を、無駄なく丁寧に生きてきたことが、藤木の自信に満ちた表情からも伺えた。
「藤木…いい男になったね」
あたしの口からは、自然とそんな言葉が突いて出た。
『へぇ〜柏木、お世辞なんか言えるようになったんだ!お前も成長したな〜!』
藤木がいきなりグッと顔を寄せてきたもんだから、あたしはカーッと赤くなった。
照れ隠しに、慌てて烏龍茶をがぶ飲みするあたしを、藤木は目を細め眺めている。
『お前今…あん時俺を振ったこと後悔したろ?』
ニヤついてそう口にした藤木を、あたしはキッと睨みつけた!
『おぉ怖…そんな顔すんなって!お前はいつも笑ってろよ。俺の記憶の中の柏木みたいにさ…』
そんな藤木の言葉に、甘苦い高校時代の想い出が甦る。
――そう言えば、あたしここんとこ笑ってないなぁ。
藤木や仲間達と過ごしたあの頃は、他愛もないことで笑えてたっけ。
藤木はそう言って、あたしの肩にそっと手を置いた。
「あたしそろそろ行くわ」
『――は?柏木?』