『愛を写す、君を愛すC』-3
「……寝ぐせ……」
「っ!!」
僕だけにしか聞こえないくらいの
ボソッとした声に驚き
後ろを振り返ると
山本ユリカが立っていた。
「…ビックリさせんなよ。」
僕はため息をつき
寝癖を直しながら
教室に向かう脚を進める。
と
髪を触られた感じがして
後ろをもう一度振り向くと
山本ユリカの手が僕の方へ伸びていた。
「何?」
「…や、寝ぐせ直ってないから…」
「…だからってさ………。」
「……………。」
山本ユリカは
自分のした行為が恥ずかしくなったらしく
赤面してうつむいてしまった。
耳まで赤くなってしまったというのが
一目でわかるくらいだ。