大失敗=成功への第一歩?-3
3 「……んっ」
朝日の光が瞼の上からアタシの目に入ってくる。
目を開けると、アタシの部屋の天井が見えた。
そのまま視線を横にずらすと憲の寝顔が飛び込んでくる。相変わらず寝顔はかわいいもんだ。一回写真撮ってやろうか。
思わず、憲の鼻を摘んだ。
「……ふが」
「………プッ、アハハハハッ」
おかしくなって、笑ってしまう。『ふが』って、漫画みたいだ。
「………ん、なにわらってんの……?」
相変わらずの低血圧で言葉に覇気がない。
「……んーん、何でもない」
一応、内緒にしてやるか。
「ちょうど今日は日曜だから、一緒にいられるな」
「ん?……そうだな。どっか行くか?」
目が覚めてきたのか、言葉がはっきりしてきた。
「ん〜、それよりさ、料理教えてよ!」
「料理ぃ?別に出来なくても……」
「憲はよくても、アタシは嫌なんだ!出来るようになりたいんだよ!なぁ、良いだろ?」
ちょうど再来週は学園祭だからな。アタシの作った、ちゃんとした弁当を食べさせてやるんだ!!このままだと、いつか料理で憲を死なせそうだしな……。
「な、な?教えてよ。……教えて下さい!」
「……でもなぁ、教えるたって、俺もそんなに上手い訳じゃ……」
「充分上手いよ。昨日の夕食もすごい美味しかったしさ!」
正直な感想だ。多分、憲が毎日アタシの食事を作ってくれたら、すぐに太るだろうな。
……え?ノロケはいらないって?
ふん…悪かったな!
「ふぅ…わかったよ、白雪」
頼み込むアタシに憲は頷いた。
フフッ、よぉし。これで、アタシの『愛のお弁当大作戦』(ついさっき思い付いた)は成功に一歩近付いたな!
思えば、これは昨日の失敗の……卵のお陰かもしれないな。
ありがとう、卵。とりあえず、お前の爆死は無駄にならなさそうだぞ!
END