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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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大失敗=成功への第一歩?-2

2 「……なぁ、憲。お、怒ってるか?」
電子レンジのドアを開けて、その惨状を確認する憲に訪ねた。
ちなみに、電子レンジ内の卵爆死現場は、それはもう悲惨な事になっていた。レンジの中のいろんな所に砕け散った……と言うか吹っ飛んだ卵の黄身とも白身とも殻とも解らない物がこびりついてる。
心なしか、臭いもちょっと酷い。
「……いや」
アタシの方を見ずに、ただ…そう一言だけで答えて、憲は黙々と電子レンジの中を布巾で拭く。
たった一言だ。
でも、その一言がアタシにはとても冷たく感じられた……。突き放されたような……捨てられたような。
「……憲、ゴメン」
「怒ってないって」
「じ…じゃあ、何でアタシを見ないんだよ!!」
アタシは思わず叫んでしまった。あ、何か視界がボヤける……。
「し、白雪?な、何で泣くんだ?」
「へっ?な、泣いてなんか……あれ?」
顔を触れると、指が濡れた。知らず知らずのうちにアタシは泣いていた。
「あれ……?何で……」
「……白雪。おいで」
そう言って、憲はアタシの手を引いてダイニングに戻る。椅子に座った憲は、膝の上にアタシを座らせて後ろから抱き締めてくれた。
「俺は怒ってないよ。まぁ、呆れてたけど」
「そ…そうなのか?」
「あぁ、まさか電子レンジで卵をチンするとは思わなかったしな。それに、あの電子レンジは白雪の家のだろ?俺が怒る理由がどこにある」
うぅ、耳が痛い。それに、おっしゃる通り。あれはアタシの家のだ。
「てっきり、俺は料理出来るのに面倒臭がってやらないんだと思ったけど……」
「……うん。出来ないんだ、料理。」
とうとう白状して、アタシはうなだれる。出来れば知られたくなかった。けど、いつかはこうなるとわかってたのもまた事実。
「やっぱり、料理出来る方が良いか?」
「ん〜、そうでもないかな」
アタシの問いかけに、サラッと答えるアタシ。肯定の返事を予想してたアタシとしては、拍子抜けだ。
「ふ…普通は、女は料理が出来る方が良いんだろ?男はみんなそうなんじゃないのか?」
「そうとばかりは言えないだろ。料理の好きな男もいるだろうしさ。俺も料理するの好きだし」
「で、でもさ……」
「俺はさ、別に白雪が料理出来なくたって、全然構わない」
憲はそうキッパリ断言した。アタシは体を捻って憲を見る。
「どんな白雪でも、俺は好きだよ。側にいてくれるだけで、俺はいいんだ」
「……憲」
あぁ……アタシ、幸せだ。こんなにも想ってくれる人が側にいてくれる……。
アタシは憲をじっ、と見ていたら……憲はいきなりキスしてきた。
「んっ………んんぅ…」
な、なんか激しい……。時たましてるキスと違う。
アタシは思わず憲の胸を押して、唇を離した。
「き、急になんだよ?」
「いやぁ、涙目の白雪なんて初めて見たからな。なんか、ウルウルしててかわいいから……」
「え……!?い、いきなりは卑怯だぞ!」
「いつもはお前がいきなりするだろ。人目が無いだけマシだと思え」
サラッとそう言って、また憲は唇を寄せてくる。
「ま、まだするの?」
「する!そんな目で見られて……我慢なんかできないし」
思わず目を瞑ると、憲のキスが再開された。
さ……さっきのよりも激しい……。
「ん!?」
舌!?し、舌が入ってきた!?
混乱するアタシをしり目に、憲の舌がアタシの舌を追いかけ回してくる。
「……んん………んむぅ」
駄目だ……何も考えらんなくなってきた………。
どのくらいしていたかは分からない。一分のようにも一時間のようにも考えられた。
頭がぼぉっとする……。
しばらくして、アタシの唇を十分に堪能した憲は、そっと唇を離した。
「……憲」
あ、駄目だ。……恥ずかしいけど、もっとして欲しい。憲への想いが止まらなくなる……。
「その……白雪…良いか?」
「……聞くなよ。どうせ、我慢の限界なんだろ?」
どうやら、憲も同じ様な気持ちになっちゃったらしい。
真っ赤な顔して尋ねてくる。アタシの方が恥ずかしいってのにさ。
アタシの問いに、憲は無言で頷く。
「……だったら、いいよ。でも、ここじゃやだから、アタシの部屋……」
「……わ、わかった」
もう何度かはしたってのに、相変わらずこういう時の憲の動きはギクシャクしてるなぁ。さっきまで、あんなキスしてきた癖に。
そのまま、ギクシャクした動きでアタシを抱き上げて、部屋へと向かう。
「……あ、電子レンジ」
途中で、ふと憲が気付いた。今は忘れて欲しいもんだ。
「明日にだって出来るさ」
「卵の中身が固まって大変になるぞ?」
「良いの良いの。今はさ、アタシだけ見ててよ」
「はいはい、分かりましたよ」
「……今夜は寝かさないからな!」
「……それって、男である俺の台詞じゃない?」
こうして、アタシ達の夜は更けていった……。


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