想-white&black-K-4
「あの男の選んだものを身に着けているだけでも気分が悪い。それにお前にこんな色は似合わない」
冷めた口調で下着も取り払われ、怯えを隠せないまま楓さんを見上げると、闇色の瞳に自分の裸身が写り込む。
隠すこともできず、晒したままの姿に羞恥が込み上げその瞳を見続けることはできなかった。
「まずは罰を与えてやる。とは言っても安心しろ。もうお前の中は準備万端のようだからな」
囁くようにそう告げられたかと思うと、ふっと笑みがこぼれる声が聞こえた。
その瞬間。
左右に膝を割られて膝裏から両脚を抱え上げられると、灼熱の塊が私の中心をいきなり貫いた。
「あっ……」
あまりの突然の挿入に短い声しか出せなかった。
初めから突き上げる力は微塵も優しくなかった。
だが薬の作用と激しい口づけと離れたくて離れたくなかった肌の温度が私をすっかり溶かしていたらしく、圧迫感や微かな痛みはあったもののそんなことを吹き飛ばす快楽に目眩がする。
遠くで溺れてはいけないと警鐘を鳴らしている声がしているのに、次第にそれに耳を傾ける余裕がなくなっていく。
「あうっ、ん……っ、ああっ」
「前戯もなしだというのにいつもより溢れてる。そのくせ俺を締め付けて痛いくらいだ」
襟元を緩めただけで服を着たままの楓さんは辱める言葉をなぞりながら、不自由な私の身体を逃がさないように捕まえていた。
そんなことをしなくても逃げられる訳がないのに。
打ちつけられる度に触れる部分はぐちゅぐちゅと濡れた音が漏れ、かき回される度に眦から涙がじわりと滲んでくる。
「あ、ああっ、ん、あ……っ」
声を抑えることはもうできなかった。
「花音」
名前を呼ばれて反射的に閉じていた目を開き楓さんを見た。
陶磁器のように滑らかで白い肌がうっすら赤く、一筋の汗が滑り落ちていくのが見える。
「どうしてここから出て行った」
「それ、は……」
"あなたを好きになってしまったから"
そう答えたらあなたはいったいどんな表情をするのだろう。
胃が痛くなるほど怖いけど、見てみたいような気もした。