「先生、原稿お願いします!」-5
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「だっ、だめです…、できません…」
由希は激しく頭を振った。
「…そうですか…」
渡瀬ががっかりしたように言った。しばらくして、フーッと深いため息をついて、パソコンの電源を落とそうとする。
「ちょっと待ってください…」
由希は慌ててそう言うと、胸の膨らみを両手でそっと包んだ。やはり、後戻りはできないのだ。
「見て…ください…」
そう言うと、由希は人差し指と中指で乳頭を挟むようにして、ゆっくりと揉みしだいた。中指を乳首の上で円を描くように動かしていると、やがて、乳首がしこってくるのを指先に感じた。
「おっ、乳首が立ってきたぞ」
由希の身体の変化を渡瀬がうれしそうに指摘する。
「あっ、あ、ああ…」
薄く開いた由希の唇から声が漏れ出した。
「アソコも触ってみてください」
渡瀬が言う。半ば自棄になって、由希は割れ目に沿って人差し指を這わせた。指先が陰裂の上端近くに達したとき、由希は声を発した。
「うっ!」
由希の頭が、ビクンと後ろに仰け反る。指がクリトリスを捕えたのだ。尖り始めた陰芽に指先が触れ、指先から脳天に向かって電流が駆け抜けた。由希は、慌てて太腿を閉じ、頬を赤く染めた顔で渡瀬の顔を見た。
(ホント、何してるのよ、私?)
ふと我に返って自問する。人前で自分の身体を慰めて見せるなど、正気の沙汰とは思えなかった。
「いいですよ、続けて…」
渡瀬が熱っぽい視線を向けている。
その声に抗うことができず、由希は花唇を掻き分け、中指を秘孔の中に忍ばした。入ってきた指に、行き場を無くした愛蜜がジュルジュルと溢れ出し、ソファの座面を濡らしていく。
「すごいなぁ…、オ×Xコ、濡れ濡れだ。太腿を伝って、どんどん流れてますよ」
「うそっ、嘘です…」
由希が首を横に振り、否定する。しかし、彼女自身が、愛液が溢れ出ているのを感じていた。
(ああ、男の人に見られて感じるなんて、私、異常なのかしら…)
由希の頭の中で、不安と快感が混じり合う。
「もっと激しくして…」
渡瀬の促す声が聞こえた。
「ううっ…」
由希は、秘孔に入れた指を出し入れし始めた。指の動きがだんだんと速くなっていく。もう一方の手が、強く乳房を揉んでいる。
「あはっ、はぁ…、はぁ、はぁ…」
由希の呼吸が、だんだんと荒くなる。秘孔の指を2本にし、さらに動かし続ける。指に纏わりつく愛蜜は、グチュグチュと音を立て泡立ち、指のすべりを加速する。
渡瀬の視線を感じながら、由希は、左手に力を入れ、激しく胸を揉んだ。そして、秘孔に忍ばせた指をさらに奥へ挿し込み、激しく動かす。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
由希は荒い息遣いで、頭を振る。汗ばんだ額に、頬に、由希の黒髪が張り付いた。椅子の肘掛に掛けられた太股がピクピクと痙攣し、膣が由希の指を締め付ける。
「あぁ、あぁ、あぁ…」
口が開き、吐息とも喘ぎ声ともつかない声が漏れ続ける。由希は、指の出し入れを続けながら、親指で尖り出したクリトリスをクリクリと転がした。
「いっ、いい…、いっちゃう、いっ、いぃ…、いくぅ…」
由希の身体がソファの上でガクンガクンと跳ねた。オルガスムスを迎えたのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
由希は、首を大きく折り、俯いて吐息を漏らした。興奮と快感…、そして、人前でイってしまったことが羞恥心を掻きたて、顔が真っ赤になっている。
「素晴らしい、これで書けるぞ!」
由希の痴態をじっと見つめていた渡瀬が声をあげ、パソコンのキーを叩き続ける。
「僕が小説を書いている間、ずっとそこでオナニーしていてください」
とんでもない注文を口にして、渡瀬は原稿を仕上げていく。
由希はあきらめて、指示に従うしかなかった。