スパイラル-1
遼、飲もう。飲むしかないよ!
寮母の早紀さんは、俺の相談相手だった。
穂花を好きになってから、ずっと相談しアドバイスをもらってきた。
早紀さんは学生寮の寮母だった。
たくさんの学生の相談相手をしてきただけあって、とても頼りがいがあった。
穂花への声の掛け方から教わり、友達になるまでは順調だった。早紀さんのアドバイスで、デートに誘うことも成功したが、今日、穂花に告白し、フラレてしまったのだ。
遼、友達以上になれないってことは、キライじゃないってことだし、
まあ、よくあることだよ。
とにかく飲もう! 遼の玉砕に乾杯!
早紀さんは、一升瓶を取り出しコップに酒を注ぐと、豪快に飲み干した。
ほら!
早紀さんが差し出したコップを受け取る。
そそがれる酒を見ていると、なぜか涙が溢れ出した。
泣くか 遼。
泣くならとことん泣け!
とまどいこそが人生だ。
早紀さん。俺、おれ・・・・・
涙が頬をつたう。
早紀さんが優しく抱きしめてくれる。
早紀さん・・・・・
いいよ。泣いて・・・・・
早紀さんの言葉が引き金となり、俺は早紀さんの胸を借り、しゃくりあげるように泣き続けた。
俺、もうだめだよ。 早紀さんにフラレ、穂花にフラレ、生きている価値もない。
遼、青春だね? そこまで思えれば大したもんだよ。
大げさだけど、今は、本当にそんな気持ちなんだ。
分かるよ。二度目だものね。
一度目は早紀さんだった。
俺、立ち直れるかな?
大丈夫だよ! 遼はやれるよ!
早紀さん。
俺は、早紀さんを抱きしめた。
早紀さんは、年齢不詳だが、誰もが振り替えるほどの美女で、とても大学生の子供がいるとは思えなかった。早紀さんの大きな瞳は、どんな男たちをも引きつけ、キャシャな体に似合わぬボリューム満点の胸と細くくびれたウエストは、どんな男をも興奮させずにいられなかった。そして早紀さんは、そんな男心を見透かすように、胸元を開き、深い谷間を見せ付けるような服装を好んでいた。
そして早紀さんは、俺達学生と平気で朝まで飲み明かすような男勝りな性格だった。学生達の部屋で、一升瓶を抱えてコップ酒を煽る早紀さんは、豪快で、頼りになる姉御でありながら、また、学生達を悩ませる存在でもあった。