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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉後編-15

「よくは分からないが、オレは意志が強いらしい。それが人を前に向かせるんだと瑛琳が言っていた。」

「うん、分かる気がする。」

千羅から伝え聞く瑛琳の言葉に同意できた。さっきもそうだ。

千羅は人の魅力に気付いて引き出してくれる、くじけそうになれば前を向く力を与えてくれる。

「千羅の言葉は力がある。多分、それはカルサが一番知ってるんだろうな。」

二人の間に小さな笑い声が響いた。視線の先にはカルサがいる。新たな光玉がまた1つ造られていた。

「いくつ造るんだろ。」

「さあ。…気が済むまでじゃないか?」

既にカルサの周りにはいくつか光玉が存在していた。自分の力を込めて造るという光玉、力の消費が少ない訳がない。

気が済むまで、その言葉はまさに的確に貴未を納得させた。

「これからは皇子カルサトルナスとして生きていかなければいけないんだ。嫌でもそうなる。」

それはこの国から完全に離れるという事を意味してた。どんな想いで今、光玉を造っているのだろう。

「大臣に話してきたんだろ?どうだった?」

「受け入れるのに必死って感じがした。」

歯切れが悪い言い回しに千羅が口の端で笑う。そうだろうなと、小さな声で同意した。

「これからはオレ達が全面的にカルサを支えていかなければならない。」

貴未が頷く。

カルサに向けられていた視線をお互いに向けた。

「頼りにしてもいいか?貴未。」

「ああ、もちろんだ。」

自然と出た言葉に揺るぎない意志を感じる。共に立ち向かうと決めた、今更離れるなんて最初から考えられなかった。

互いの過去を暴いてみても何の意味もない、本質はとうに知り尽くしていた。

「あとは、この国でどう幕を降ろすかだ。」

その言葉の意味は、とても深く、重いものだった。もう帰ることはない。

この国とはこれきり、今生の別れになることは明白だった。

千羅の声が何度も胸の中で反響する。貴未はさっき真実を告げたばかりのハワードへ想いを馳せた。

彼の意向はまだ見えない。


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