こたつとみかん-1
玲奈:「ねえ……なんかない?」
翼:「ネタを人に聞いたらいかんでしょ。文芸部員として」
美春:「そーそー。自分で考えなさい」
雄一郎:「翼はあれなん? やっぱりいつものように推理系?」
翼:「ま、ね。結構自信作」
玲奈:「ううー。いいなあ、アンタらは。アイデアがどんどん生まれてきて」
雄一郎:「どんどんって失礼な。ちゃんと悩んで産み出してるんだよ」
翼:「そうだよ。お前もせいぜい苦悩しろ」
雄一郎:「ていうか今さらだけど、なんでお前らは俺ん家のこたつでくつろいでるわけ?」
翼:「暇だから」
美春:「高校から近いからー」
玲奈:「雄ちゃんは優しいからその内助けてくれるから」
雄一郎:「お前ら……いい加減にしろよ」
美春:「ねーねー。そこのミカン取ってー」
雄一郎:「だからそれもうちのだってば」
翼:「はい」
美春:「あはっ。ありがとー。翼っち」
雄一郎:「てめえらコラ!」
玲奈:「こたつ……。こたつ……。『こたつとミカン』でなんか書けないかな」
翼:「こたつとミカン、か。なかなか難しいお題だね」
美春:「あたしなら、そうだなー。ラブラブカップルがこたつでイチャイチャする小説かな」
雄一郎:「どうだろ。こたつがタイムマシンになるSFコメディとか書けそうだな」
翼:「あ、こたつとミカンでいいアイデアでた」
雄一郎:「お、ミステリーマニアの翼がまた素晴らしい作品を産み出しますよ」
翼:「いやそんな大したもんじゃない。ちょっとしたアイデアだから」
玲奈:「ちょうだい!」
美春:「はいっ」
玲奈:「ミカンじゃない! アイデア!」
雄一郎:「つうかだから人ん家のミカンばくばく食うんじゃねえ!」
翼:「雄一郎ケチくさ」
玲奈:「翼もケチケチせんと、ほら」
翼:「明日、体育の後ジュース奢るなら教えてあげる」
玲奈:「よし、乗った!」
翼:「タイトルは『こたつとミカン殺人事件』」
雄一郎:「おー。聞かせてみ、聞かせてみ」