SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 追章-3
なんだか自分の胸の内を完全に見透かされたようで、ちょっと怖い。
こういう冷静な男が、叫びたいくらいむしゃくしゃすることなんて、ホントにあんのかな?
それとも単に私がおちょくられてるだけなのか………。
あれこれ思いを巡らせていると、不意にヤナが真面目なトーンでこう言った。
「―――ヤマト……相原と付き合ってんだってな」
なんの脈絡もなくいきなり核心に触れられて、心臓が飛び出しそうになった。
「……そ、そうらしいね……」
なんでもないふりを装ったが、自然と声が上擦ってしまう。
―――私が今日授業をサボった理由。
それはヤマトが同じクラスの相原博美と付き合っているという噂を聞いてしまったからだった。
博美は私とは正反対の、クラスでも一番目立たない、大人しいタイプの女子。
当然のことながら、ヤマトが過去に遊んでいたような華やかな女の子たちともまるで違う。
しかしそれだけにヤマトの本気が感じられるような気がして、噂を聞いた途端、私はその場にじっとしていられないくらい苦しくなってしまった。
あれからもう何ヶ月もたって、ヤマトのことは完全にあきらめられたと思っていたのに、全く成長していない自分に気付かされて情けなくなった。
次の視聴覚室での授業は、博美とヤマトが隣り合わせの席になる。
二人がもし親しげに会話を交わしているところを見てしまったら冷静でいられる自信がなかった。
だから私は、こうしてここへ逃げて来たのだ。
「俺……ヤマトは川崎のことが好きなんだと思ってた」
ヤナはいつもと変わらない淡々としたトーン。
でもその言葉は私の胸を激しく揺さぶった。
「は?……な…なに言ってんの?……」
戸惑いながらも、ヤマトの親友からそういうふうに見られていたことに喜んでしまう自分がいる。
今となってはそんなことまったくの無意味なのに―――我ながら馬鹿だ。