SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 追章-2
「死ぬのはいいけど、とりあえず明日にしてくんねぇ?――今死なれたら現場にいた俺も色々めんどくせーことに巻き込まれそうだし―――」
「……何それ?意味わかんないし………第一私、死ぬ気なんかないんだけど」
「……ふーん……」
ヤナはうたぐり深い目で私の表情をまじまじと観察していたが、「コイツは死にそうにない」と判断したのか、ようやくゆっくりと手を離してくれた。
結構な力だったらしく、つかまれていたところがジンジンと痛む。
「――まぁ、もし死ぬにしても中庭はやめとけ。あそこでいつも昼飯食ってるヤツが気の毒だ」
―――なんじゃそれ?
結局死ぬこと自体はとめるつもりないのか。
「あんたって―――ホントいちいち失礼ね」
前からとっつきにくいヤツだとは思ってたけど、やっぱり思考回路が普通じゃないらしい。
しかし、この変人がヤマトの一番の親友というのだから、人の相性というのはわからない。
正直言ってあまり関わりたくない相手ではあったが……サボリ同士の口裏合わせみたいなことは、一応しといたほうがいいのかもしれない。
ヤナは、さっきまで私がしていたのと同じ姿勢で、手摺りから中庭を見下ろしている。
成り行き上、私は仕方なくヤナに話し掛けた。
「―――いつもここでサボってんの?」
「いや、そういうわけじゃないけど―――今日はむしゃくしゃしてっから、屋上からおもいっきり叫んでやろうかと思ってさ―――」
そう言いながらチラッとこっちを見た顔が、意味ありげにニヤニヤしている。
「……そ…そうなの?」
「――ま、馬鹿じゃねーからやらねぇけど」
「………そ…そうだよね……」
―――よかった。叫ぶ前で。