SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 最終話-4
「―――しず。お前ほんまにええんか?」
ヤマトは疑わしげな表情を変えない。
「オメーしつけぇんだよ。本人がこう言ってんだからいいに決まってんだろ?あン?」
私の援護を受けていい気になったのか、金髪がヤマトに食ってかかりそうになったため、私は無理矢理男の腕を引っ張って歩き始めた。
「あ、あのっ!車どこ?裏の駐車場?」
早口で言いながらぐいぐいと大股歩きで校門を後にする。
ヤマトがどんな顔をしているのか、怖くて振り返ることが出来なかった。
校庭の脇を通り抜けて学校の裏手の駐車場に回ると、見覚えのあるスモーク張りの黒いワゴン車が停まっていた。
あの日―――この車に乗って私は好きでもない男とホテルに行き、処女を捨てたのだ。
不快な記憶が生々しく蘇って、私はぶるっと身震いした。
もうあんな思いはたくさんだ。
「――私、やっぱ歩いて帰る」
いつの間にか馴れ馴れしく肩に回されていた男の手を冷たく振り払って、私は踵を返した。
「おいおい。そりゃないよ。とりあえず車に乗ろうぜ」
男は猫撫で声を出しながら私の前に回り込み、両腕をつかんできた。
「―――やっ!離してっ!」
「今さら何言ってんの?大人をからかっちゃダメだよ」
優しい口調とは裏腹に、腕をギリギリとつかんでいる指の力は異様に強い。
「痛っ……離してよっ……」
なんとかして逃げようと全力で抵抗してみたが、男の腕は恐いくらいにびくとも動かなかった。