SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 最終話-12
「……それは……きっとアンタが頼りないからでしょ」
「――まぁ、しずから見たらそうかもな」
笑って答えるヤマトの声を聞きながら、私は確信していた。
ヤマトが自分を好きになることはないということ。
そしてその原因を作っていたのは、おそらく自分自身だったのだということを。
「―――帰るか」
ヤマトが学生ズボンの泥を払いながら立ち上がった。
「――とりあえずこれ着とけ」
くしゃくしゃの汗くさいジャージを投げ付けられて、自分の制服が完全にはだけていることに初めて気付く。
「い……いいよ。自分のあるから……」
反射的に答えながら、「またやってしまった……」と思った。
「……せやろな」
ヤマトもさすがにあきらめたような苦笑いを浮かべた。
「―――しず」
ヤマトが私の名前を呼ぶ。
その声は、切なく悲しい響きを帯びていた。
「―――何よ」
私はヤマトの顔を見ないようにそっぽを向いて答えた。
「もう……俺みたいな男……好きになったらアカンで」
優しく穏やかな口調。
なんだ……バレてたのか。
急に肩の力が抜けた。