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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第十四話-1

第十四話 迷走―其の二―

「はぁ、すんません、りょーこさん。留守番させてしまって…。」

膝に手をついて上がった呼吸を落ち着けている。

「はぁ…、あ!蒔田さん!気づかなくてすんません!」

「え?あ、あぁ。お邪魔しています。話はリョウコから聞いたので大丈夫です。
それより藤本さんこそ、大丈夫ですか。」

「はぁ…。えぇ、大丈夫です。お騒がせしましてすんません。」

「全然問題ないですよ。ではこの書籍、お借りしますね。来週また返却しに来ます
ので。」

「へぇ、もうお帰りですか。」

「えぇ、そろそろ戻らないといけませんから。」

ヒロタカは営業スマイルを私と彼に向け一礼すると、そそくさと帰って行った。

「…本当すんません。留守の間、何かありました?」

「いえいえ!お客さんも、蒔田さん以外来なかったので…。それより、お祖父さ
んの容態は…。」

「あ、へぇ、なんか聞いたら病院の食事に飽きて食べなかっただけらしいす。そ
れで栄養失調気味になったみたいす。本当お騒がせなじいさんで困るすよ。」

そう言うと頭を書きながら困り顔で笑った。

「そうなんですか。大事に至らなくて本当良かったですね。
私も安心しました。」

「…なんかすんません。せっかくのお休みなのにお時間とらせてしまって。」

「え、いや、全然!お役に立てたなら良かったです…。」

「本っ当、助かりました。ありがとうございました。」

そう言うとほぼ90度くらいに頭を下げた。

「あはは、そんなに深く頭下げなくても。」

「え?あ、すんません。」

そう言うと、今度は45度くらいまで頭を下げた。


ぐるぐるぐるるるるるるる……。

突然彼のお腹から大きな音が聞こえてきた。

「あ、すんません。なんか、走って帰ってきたので、お腹空いてしまったみたいす。」

そういうと、ちょっと赤くなりながら頭を掻いた。
いつも平常心な彼が照れるなんて何だか意外な感じがした。
平常心というか、ぽーっとしているだけなのかもしれないけれど。

「あはは、なんだか私も、なんだかお腹空いてきました。」

「あ、そうすよね。もう晩御飯の時間すね。なんか、お礼にご飯ご馳走しましょうか。」

「え?そうゆうつもりで言ったんじゃなかったのですが…。」

「でも店番もしてもらったし、プリンもご馳走になったし、
ワタシばっかりお世話になってますから。ご馳走、させてください。」

きっと、この大きなアーモンドアイでじっと見られたら
誰でも嫌とは言えなくなってしまうだろうなと思う。
私も例外なく彼の言葉を受け入れた。
彼は、私の了承の返事を聞くとにっと笑い、着替えるから少し待っていてほしいと
二階へ駆けていった。


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