双子の姉妹。 3-7
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翌日も麻琴の勉強だった。
おそらく答案も何枚か返ってきてるだろうし、今日はその反省だな。
そして今日こそは話そう。そして謝ろう。
玄関のドアを開ける。
「こんばん…」
「……遅かったわね」
玄関には麻琴が立っていた。
麻琴が出迎えなんて滅多にない。
というか、待っていてくれたのか。
「…よう」
「まあ入って。部屋行こう」
麻琴が促してくる。
俺はリビングに寄らずにそのまま麻琴の後をついていった。
「あれ、ぬい…」
「え?」
「上着、脱いでいいかって言ったんだ」
「勝手にどうぞ」
あぶねえ…
早速困ったときに使おうと思っていた交渉権を無駄にするところだった。
それにしても一体、麻琴はあのお友達をどこに隠しているんだろう。
クローゼットの中か…いや全部は入りきらないだろうし…
「何で入り口で突っ立ってるのよ?」
麻琴はベッドに座っていた。
「あ…ああ」
そのままいつもの椅子に座る。
「俊哉、こっち来て」
何故かベッドに座るように言われる。
「ん」
ゆっくり麻琴の横に座る。ベッドのふかふかがなんとも心地よかった。
「俊哉、昨日はありがとう。気を遣ってくれて」
「あ、ああ…」
「昨日はやばかったんだ。学校帰ってから夜中まで寝てた」
「そうか」
ふと思ったけど、麻琴が普通に話してくれるってことは、おばさんがどうやらうまくフォローしてくれたみたいだな。
本当に助かる。
「俊哉、昨日あたしの部屋、入ってないよね?」
「入ってません」
うお、唐突過ぎる。
「俊哉…あのね、あたし、素直に嬉しかった。俊哉はちゃんとあたしのこと、そんなにも考えてくれてたんだって」
「へ?」
あれ、なんかおかしくないか?
麻琴、顔真っ赤だし、変なこと言ってるぞ?
「俊哉があんな女とキスするとこ見ちゃったけど、俊哉がどうとも思ってないってわかったし、許したげる」
「ああ…」
うーん…無事に俺の話が伝わっているのか、怪しくなってきた。
おばさん、まさか変なこと言ってないですよね?
「あたし、勉強頑張るね。俊哉にもっと喜んでもらえるように」
「お…おう」
おばさん…なんか心からお礼言いたくないんですけど。
なんか俺、おばさんの手のひらの上で踊ってませんか?
「…さ!勉強やろう俊哉!今日は現文と科学と英語の反省ね!」
麻琴はバッと立ち上がって机に向かった。
これで…よかったのか?