双子の姉妹。 3-4
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女ってのは本当にわからん。
「もう俊哉、聞いてるー?」
「…あ、あぁ」
あんなことがあったのに、あれから毎日、香織は平然と俺に話しかけてくる。
しかもあの一件とは関係のないくだらない話。
あのときは自分で彼女候補とか言ってみたり、不意打ちでキスしてきたり。
あれは夢だったのか?
まさか、酔っぱらってただけ?
はは…ないよな。
「もう!彼女候補をそんな適当に扱っていいの?」
なかった。
本当はあってほしかった。
「…はいはい」
どうすりゃいいんだろう。
麻琴の誤解を解くためにはこれを解決するしかないんだよな。
ただ、ここでビシッと突き放すことができればいいんだけど。
いちおう高校から仲良くしてくれて、数少ない友達の一人だし。
本気かどうかは全くわからないものの俺に好意を抱いてくれてて。
俺ってだめなやつ。
「そういえばさ、双子ちゃん、かなり可愛いね。性格はきつそうだけど」
「普段は割とそうでもない」
「…双子ちゃんの話になると食い付いてくるんだね、俊哉は」
「…う」
「でも、あんな可愛い子と毎日のように顔合わせてたら好きになったりしない?」
普通は逆に恋愛対象にはならなくなると思うんだが。
「……わかんねえ」
「ふーん、あたしは俊哉が素直になってないだけだと思うけどね」
「素直、ねぇ」
ちょっと考えてみるけど、わっかんねーな。
「……まあどっちにしろ、負けちゃいそ」
「ん?なに?」
「なんでもないよ」
そう言って、香織は俺が座っていた席から離れていった。