双子の姉妹。 3-3
***
「なあ麻琴」
「……」
麻琴との勉強も終わり、四人揃って食卓についているわけだが、麻琴は全く口を利いてくれない。
さっきのは言葉のあやだったんだが…
見事に勉強以外は完全無視。
相変わらずご立腹のご様子。
やっぱり簡単には誤魔化せないか。
でも、あれは俺が完全に被害者だったんだけどな。
俺はあのとき既に、香織の、というか今時の女のあんな言動を見てすっかり冷めてたんだし。
まあ麻琴も頑固だし、真面目に話しても聞き耳などたててくれはしないだろう。
しばらく様子を見るにしても、家族の空気を俺のせいで壊すのはなあ…
俺は櫛森家に普段から家族の楽しさを教えてもらってるわけだから、これには正直ヘコむ。
「せんせ、なに考えてるの?突然ボーっとして」
琴音が俺の目の前で手を振ってきた。
「あ、ああ…」
「俊哉くん、ご飯冷めちゃうわよ」
おばさんも心配そうな顔で言う。
まあ、おばさんは麻琴の態度からして俺と麻琴の間に何かがあったことは気付いてるだろう。
おばさんも様子見ってわけだな。
「はは、二日酔いがまだ完全に覚めてなくて」
「あら、俊哉くんお酒飲んだの?」
「はい、今日は大学行けなくてやばかったです」
「せんせ、サボりだー」
「あらあら、バイト休んでもよかったのに」
「あ、いや、これは仕事ですから」
「……」
普段ならここで、麻琴が言うんだよな。
“そんなこと言って、俊哉は家で晩御飯食べたいだけでしょ”
…なんか寂しいな。