遠恋ーえんれんー 蓮side1-1
自分の欲望の為になら
人間はこんなにも卑怯になれる生き物なんだよ
『君の1番大切な人になれなくて良いから』なんてのは甘い考え
何よりも誰よりも愛するから、僕だけを見て
「蓮?どしたの?」
「いや‥なんでもないよ。」
茜を前にして、美音に想いを馳せる僕は最低な奴だってのはよくわかってる。
「なら良いけど‥。あっ、私ブルーベリーチーズケーキにしよっかなぁ‥」
ここのカフェは前に美音と来た所。
美音はケーキを5個もたいらげた揚句、人に奢らせやがった。
仕方ない。
これが惚れた弱みってやつなんだろうか。
今茜が頼んだのと同じブルーベリーチーズケーキを美味しそうに頬張っていた。
まぁ他にもショートケーキやらチョコレートケーキやらタルトやら食べていたが。
『あたし、モンブランは嫌いなの。』
僕が頼んだモンブランに一瞥くれて美音はそう言い放った。
いや‥別に良いですけどね?
『一口あげるよ』みたいな感じで間接キスくらいできるかな‥って期待をしてなかったと言ったら嘘になるが。
むっつりスケベ万歳。
「‥ん‥蓮!聞いてる!?」
いいえ、全く。
「‥ちゃんと聞いてるよ。」
「本当?嘘っぽいなぁ〜」
茜が上目遣いで睨んでくる。
美音もこんな風に可愛く睨めばいいのに。
あいつは可愛らしさのエッセンスを微塵も感じない顔で人を睨む。
そういうところも気に入っているのも事実だが。
自分の恋愛感情の末期症状加減に笑えてくる。