胎児の遺言-9
『妊娠してるってことは、中出し出来るじゃん!』
「やめてよっ!バッカじゃないの?!」
私は貴幸の腕を振りほどき、彼を睨み付けた!
この時ばかりは本気で頭にきた!!
そして、それと同時に芽生えた刹那の感情…
お腹に子供がいるのにHなんか出来ない。
それは明らかに可哀相という感情だった。
私が初めて感じた母性。
たった1ヵ月の母親だったけど―――
∞∞∞
花梨にはきっと、最初から分かっていたんだろう。
貴幸が、私の体だけを目的にしていたこと。
ふと気になって、前に貴幸に聞いてみたことがあった。
『ねぇ…私って体だけの女?』って。
「お前そんなにいい体してないじゃん!」って貴幸はケラケラ笑ってた。
それもそっか…
それで変に納得しちゃった自分がいた。
私は、顔とスタイルを褒められることには慣れていたけど、唯一胸が小さいのがコンプレックスだった。
だから、裸になるのが極端に恥ずかしくて…
それくらい、生まれたままの自分の姿には、自信が持てなかったから。