逃げ出しタイッ!?-9
「んぅ、ふぅ、はぁああ、いいわ。うん、もう、出そう。やべ、出るわ、全部口で受けてよ、あ、あ、あ、いく、いくいくいく、いっくぅー……」
「!?」
昇がいきなり腰を前後させたかと思うと、雅美の中の逸物はぴーんとなり、そして数瞬待ったあと、勢い良く何かを吐き出した。
「うぐぅ!?」
喉の奥めがけて勢いよく出されたものに戸惑う雅美。どろりとしたそれが口腔内に溢れかえり、その一部は唾液と一緒に反射的に飲み込んでしまう。
「うげぇ、ぐぇぐぇ、えぐっ……」
鼻にくる青臭いにおいに咽び、まだ残るものを懸命に吐き出す。
「げ、ぺっ、ぺっぺ、ちゅぅ、っぺ……」
しかし、男はそれを許さず、彼女の髪を引っ張り、まだ射精を続けている亀頭を彼女の頬、鼻先にぐりぐりと押し付ける。
「ん、んぅ、いや、やめて、やめてください……」
「うわぁ、エロいわぁ、まじやべーくらいにエロい」
もはや抵抗することもできない雅美は顔中を勃起したものに蹂躙され、精液を塗りたくられていた。
もう枯れ果てたのか、涙もそれを洗い流そうとはしてくれなかった。
**
「ふぅ、まじで良かったわ。ありがとね、雅美ちゃん。んじゃま、来週の日曜日は彼氏と楽しんできなよ。んじゃな」
ジャージを穿き直すと昇は彼女のほうを見ることなく部室を出る。
残された雅美はなぜか冷静になり、すくりと立ち上がると部屋の隅にある雑巾で行為の痕跡を消しにかかる。
自分の顔をぬぐい、床をふく。
精子が伸びていく様に腹をたてながら、力いっぱい床を拭く。
何度も、何度も。
それをしたところで時間は巻き戻るわけでも、消し去ることもできないというのに、何度も磨く。
そして、涙。
こぼれる涙でさらに拭く。
もうあと、二、三度。
これ以上はもう身体が動きそうにないけれど。
*―*
朝の教室は忙しい。朝連の疲れを少しでも取りたいと机に突っ伏す運動部に、課題目当てでクラスの秀才に近寄るお調子者。他にも昨日のドラマは、休みの予定はと会話を弾ませる級友達。
「おっはよー雅美!」
「あ、おはよう。早苗」
そんな中やってくるのは今年からの友人、木下早苗。
「ねえねえ、来週の試合、雅美も行くんでしょ?」
「……うん。なんで?」
「だってさ、ほら、なんか雅美、隆一君と仲いいじゃん」
「そうかな?」
「そうだよ。だってほら、隆一君、なんか雅美にばっかり試合のこと振るんだもん。
頭きちゃう」
早苗は口やかましくはやし立てる。どちらかというと童顔な彼女はまだ中学生にしか見えない。胸もお尻も雅美より薄く小さく、髪型は少女ちっくな三つ網二つ。
それでも恋には憧れがあるらしく、ちょうど良くかっこいい隆一のことを四月のころからはやし立てていた。