逃げ出しタイッ!?-7
「んっ!」
えいと気合を入れて握り締めた右手がすべり、てかてかした亀頭に触れる。その途端、昇は眉間に皺を寄せて息を詰まらせるようにうめく。
「ご、ごめんなさい」
また暴力を振るわれる。
そう思った雅美は反射的に手を離し、頭をかばうようにする。
昇は何も言わずに彼女の手をとると、今度は亀頭に手のひらを押し付ける。
「きゃっ」
ねちゃりとした感触。先ほどまでは汗ばむ程度だったそれが確かな水、粘り気のあるものに変わっていた。
「もっとしてくれよ。あー、我慢汁出てきたし」
「我慢汁?」
聞いたことのない単語に焦る雅美。
自分は何か相手に我慢させるような行為を強いたのだろうか?
もしそうならおそらくは暴力を振るわれる。
「先輩、ごめんなさい、痛いことしませんから、許してください」
頬を伝う涙がスカートに沈む。もうどうしてよいかわからず、ただ震えるばかりの雅美は怯えた様子で目の前の男の機嫌を伺うばかり。
「いいから、さ、ほら、もっとしごいて」
「は、はい」
これ以上機嫌を損ねまいと従順になる雅美。
さきっぽから出てくる妙な液体を嫌がりつつも、そのぬめりを利用して扱く速度を上げる。
「ん、はぁ、いい、いいよ。雅美ちゃん、上手。あ、あぁ、いいわぁ」
「ほんとですか……」
昇は満足に向かっている。これでようやく開放される。
が、
――え、待ってよ。男の人のオナニーって射精……。
このまま昇が快楽を上り続ければいつかはそれにいたる。
今自分は彼のそれを目の前にしているわけだが、もし彼が絶頂を迎えたら?
顔めがけてほとばしる男の汁。
大嫌いな男のそれを顔にかけられて平気なのだろうか?
――嫌よ、そんなの!
「ね、先輩、もういいですよね? もう気持ちいいですよね?」
なんとかして射精されることだけは避けたい雅美は、無駄と知りつつも望みをかける。
「だめだ。最後までやれ」
上から響く命令口調。
「は、い」
胸にこみ上げるなにかが言葉を遮る。それでも従わざるを得ないのは、先ほど与えられた痛みのせい。
「んぅ、あ、あ、あ、あぁ……」
昇の呼吸のピッチが速くなり、亀頭は何度も膨張しては収まるを繰り返す。