逃げ出しタイッ!?-5
「こねーよ、アイツ今ごろは空手部行ってるし。つかさ……」
肩をこわばらせる雅美の首筋に、昇の手が触れる。
「ひぃ!」
乾いた手で触れられる感覚にびくりと飛び跳ねる雅美。
「怯えてるの? かわいいね」
ねちゃりと舌なめずりの音が一回聞こえた。
まだ残暑の厳しいというのに、背筋に走る悪寒とうなじを伝う脂汗。
「雅美ちゃんもサッカー部の応援でしょ? 傷つくなあ」
後藤にしめられてからはマネージャーと呼んでいたはずの昇が、今は下の名前を呼んでいる。
――やめてよ! 気持ち悪い。いったいなんなのよ!
「先輩、もういいですよね? 私、いきますね」
「ちょ、それはない。ないない。つか、俺のお願いまだじゃん」
「なんなんですか、早く言ってくださいよ」
あまりの嫌悪感に普段の口ぶりも忘れてキンキン声でわめく雅美。
それにむっとしたのか昇は険しい表情になり、乱暴に彼女の制服を掴む。
「おい! お前、調子に乗るのもいい加減にしろよ! 俺がその気なればお前のことヤルぐらい平気なんだからな! それとも殴られたいか? ああっ!?」
すごむ彼の荒い鼻息が、彼女の顔面に吹きかけられる。
「……ご、ごめんなさい」
昇ならやりかねないと感じた雅美は恐怖感に負け、表面上、おとなしくなる。
「へへ、わかればいいんだよ。別に俺も無理やりしたいわけじゃないんだからな」
途端に口元をほころばせる昇に一息つく雅美。ただ、彼の目的が自分にあるのは必至であり、そしてそれを拒める算段も無い。
「あの、先輩、私……」
「昇ってよんでよ、雅美ちゃん」
「え、でも……」
「でもじゃねー!!」
またも吼える昇に萎縮する雅美。
「の、昇、私、何をすればいいんでしょうか?」
たどたどしい敬語と震える声に昇は上機嫌。
そしておもむろに立ち上がると、ズボンを脱ぐ。
「やっ!」
ズボンと一緒に脱いだらしいトランクス。そしてぶらぶらとゆれるそれが、むくむくと立ち上がり、天井を目指していく。
「せ、昇、そんなのしまってくださいよ」
ほとんど泣きそうな声で言う彼女に、昇は嗜虐心が刺激されたのかさらに息を荒げる。
「ちょっとさ、オナニー手伝ってよ」
椅子から滑り落ち、腰が抜けている雅美にすりより、勃起した陰茎を彼女の鼻の前にまで持っていく。