逃げ出しタイッ!?-41
「あ、やぁ、いい、いいの。いいのぉ……」
シーツに噛み付き、唾液の染みを広げる。いつの間にかお尻を高く上げており、指は執拗に蜜穴を追いかけ、さすり、もぐりこんでくる。
「や、そんなに、いじめ、ないでぇ、お願い、隆一くふぅぅん」
想い人をまぶたの裏に描き、彼の冷たく細いものを下の唇でくわえ込む。
中指の第二関節までいりこんだとき、痙攣したように指がうごめき、膣襞を引掻くように強く撫でる。
「んぅ!? あっ…………!!」
一瞬、身体が浮いたような錯覚を感じ、それと連動して上半身を起こしてしまう。
「あっ、あっ、あっ……」
何度か小声を漏らしたあと、「うぐぅ」と醜い声をひねり出し、そのまま突っ伏す。
「……はぁ、あはぁ、はぁ、はぁ……」
過呼吸のように荒く、激しく酸素を求める雅美。
全身には耐え難い恍惚が走り、瞼の裏にはクラスメートの顔が浮かぶ。
彼は笑っていてくれる。
妄想の中では。
では、現実では?
「明日も、するのかな……?」
まだ軽く余韻が残るものの、いくらか思考も冷静さを取り戻した彼女だが、無意識が吐き出した言葉は、それほど今を悔いていないという、悲しい心情。
*−*
いつもより早い朝、朝食は食べる気持ちになれなかったので抜いた。
それでも淹れたてのコーヒーの香りには逆らえず、カフェオレだけは飲む。
前髪のチェックもそこそこに家を出る。
何故だろうか?
妙に心躍るものがあったから。
けれど、どこに?
そんな疑問も入る余地がなく、雅美は通学路を急いでいた。
**
教室に着けばいつもの顔ぶれの他愛のない会話があふれている。
……はずだった。
雅美が階段を上がる途中、雷鳴のような女子の悲鳴と、あらぶる男子の声。
――何? なにかあったの?
一段飛ばしで駆け上がり、騒ぎのもとへと向かう雅美。
騒ぎのもとは一年E組。
男子二人が組み合い……というよりは一人が一方的にもう一人を殴りつけている様子。