逃げ出しタイッ!?-27
「雅美ちゃんはさ、この部室をラブホ代わりにして男とやってんだよ」
「そんなこと、してません!」
必至に否定しようにも、性行為を部室で行ったのは事実。
「つか先輩、なめられてますよ?」
「なにが、だ?」
生臭さを感じた達郎は困惑しているらしく、悟との会話にも若干のタイムラグを発生させる。
「マネージャー、先輩のことバカにしてるんですよ。だから何も言わないでいきなり辞めるとか、サッカー部の応援行くから休むとか言い出すんですよ」
「でも、それは……」
「いいっすか? うちらはみんなインターハイ目指してがんばってるんすよ? そりゃ、サッカー部や野球部に比べて成果はしょぼいっすけど、んでも、マネージャーが他の部応援しにいくから陸上部の試合休みますってのはないでしょ? ありえません」
「それはそうだけど」
「こいつさ、部室でセックスしたりフェラチオしたり、ザーメン飲んだりして、マジで淫乱入ってますよ。どうせサッカー部の奴らとかと一緒にやりまくりたいんじゃないんすか?」
「そんなことしません! ねえ、キャプテン、こんな奴らのいうこと聞いてないで、誰か呼んできてください!」
「お? なんだ、キャプテン、勃起してね?」
「いや、これは……」
前かがみになり、膨らみつつある部分を隠す達郎の様子を昇は見逃さない。彼はそのまま達郎の背後に回り、背筋をそらせるようにさせる。
「いや!」
十分に勃起したそれはジャージのズボンにしっかりとテントを張っており、その男性のシンボルを見せられた雅美は顔を覆って視線をそらす。
「なにかまととぶってんのさ。嬉しそうにザーメン飲むくせにさ」
「あんなの、あんたが無理やり飲ませたんじゃない!」
「無理やりって、普通のまねーよ。吐くね。絶対」
仲間というか庇ってくれそうな人が来たことに威勢を繕う雅美だが、まともに悟の顔を見ることはできそうにない。そしてそれは悟も知るところ。
「なあ、キャプテン、お前知ってるか? 影でマネージャーがお前のことなんていってるかさ」
「なんのことだ?」
「だからさ、役立たずとかさ、どうせ彼女のいない童貞だとか、かなり哂ってるらしいぜ?」
「ウソ、そんなことしません。先輩、信じてください」
「それにさ、ほとんど挨拶だってしないだろ? こっちみないで誰かきたらただ「おはようございます」ってだけだし、まじでこいつ俺らをなめてんだよ」
それは確かに事実。すでに心が陸上部から離れているのだから当然のこと。
「だからさ、ここはキャプテンからガツンといってやってくれないと」
「それは、まあ、あとで言っておくよ。……というか、話をそらすなよ」
「キャプテンこそ、アソコそらせてよく言うよ」
下品な冗談にげらげらと笑う二人。達郎は自分が笑われたように思ったのか、顔を真っ赤にしてうつむく。
その様子を見て、雅美はこの状況が打開できるのかと不安になる。
この二人の目的はおそらく性処理。そして、もしかしたら……。
「なあ、キャプテンもどうです? 俺らと一緒に楽しみましょうよ」
「は? なに言ってんだ、つか昇、離せよ」
両腕を羽交い絞めにされる達郎はじたばたともがくが、重量の関係でその締め付けははずせない。
「まあまあ、そんな暴れないで……」
暴れる男のズボンを下ろし、テントの柱を暴く。