逃げ出しタイッ!?-25
「マジで? つか普通部室でセックスするか? マジでマネージャー淫乱なんじゃね?」
「そっすよね、いくら休みたいからってフェラする女ですし、パンツからもザーメンの臭いするし」
悟は雅美のロッカーから黄色とくすみのある布切れと、紺のジャージ、黒のスパッツを取り出す。
「うわ、マジで精液くせえわ。こりゃマジで淫乱だな。いっつも男の精子の臭いをぷんぷんさせてないとだめなんだろ? なあ、雅美ちゃん」
足元に投げられたそれには染みがいくつか。彼らが掃除のときに雑巾をしぼるとも思えず、つまり、汚された部室を清掃したのは……。
「酷い、酷いです。なんでこんなこと」
「なんでって、マネージャーが汚したんだから、マネージャーので拭いただけじゃん」
しれっとして言う悟の顔がにじんでゆがみ、もう人の顔に見えない点になる。
「そうだな、自己責任ってわけだ」
「何が自己責任よ……。私のこと、よってたかって、レイプして、酷い、酷い……」
投げ捨てられた衣服をかき集め、一日たって生臭さの増したそれをくしゃくしゃと掴む。
「あんたたち、訴えてやる……、絶対にゆるさないんだから……」
鼻水をすすり、嗚咽の混じる言葉に陵辱者二人は意に返す様子も無い。それどころかまた例の青い小型端末を取り出し……、
『あ、あ、だめ、やめて、い、くぅ……』
繰り返される悲鳴のような喘ぎ声。
「雅美ちゃんだってイったんでしょ? じゃあレイプじゃないじゃん。ほら、見てよ、自分から悟にしがみついてるし」
それは反射のようなもの。内側から爆発しそうなほどの快楽が生まれ、それに怯えた結果。といっても、誰もそれは信じてくれはしない。
「なあ、素直になれよ。雅美ちゃんもセックス気持ちよかったんだろ?」
耳元でささやく悟に懸命に首を振る雅美。その態度に業を煮やしたのか、それとも最初からそうするつもりだったのか、悟は容赦なく髪を引っ張り、左右に揺らす。
「い、痛い痛い痛い痛い! やめて、離して! お願いやめて!」
「ああ? それなら言えよ、セックス気持ちよかったですってよお!」
まだ破瓜の痛みは引いていない。歩くとき自然にがにまたになりそうなのを必至にこらえ、体育の授業は生理とウソをついて休んだ。
「はい、そうです。気持ちよかったです。だから、離してください!」
しかし、頭皮から発せられる痛みには耐えられず、気持ちを裏切る言葉を出す。
「へへ、素直になればいいんだよ」
ようやく手を離した悟の指先から、数本の髪が落ちる。
「んじゃさ、聞くけどよ。本気で辞めるつもりなの?」
「……はい」
「ああ!?」
「辞めます」
「これほどたのんでも辞めるっつうの!? お前ばかじゃねーの?」
一度も頼まれた覚えがないのだが、雅美もこれだけは譲れないと気持ちを構える。