逃げ出しタイッ!?-24
**
「で、どうして宮川さんは辞めたいの?」
「どうしてって、別に私、いなくてもいいじゃないですか」
「いなくてもって、そんなことないよ。宮川さんは大切な部員だし、毎日洗濯とかがんばってくれてるし、気が利くところあるし……」
六月までならそうだった。けれど、もうその気持ちに戻ることはありえない。
気持ちを蹂躙され、さらには身体を穢された。しかもこの部室で。
「とにかく嫌です!! ゴメンナサイ!!」
話し合いは最初から拒否。うつむきながら立ち上がり、達郎の顔も見ずに叫ぶように言う雅美。
「そ、そうか、それじゃ、わかったよ。こっちこそごめん、引き止めて」
気迫に押し返される格好で達郎は頷き、退部届けを日誌に挟む。
「なにいってんだよキャプテン。そんなんじゃなめられっぱなしだって」
「そうそう、こういうわがままが通ったら、他の部員のやる気にも影響するっす」
急にドアが開いたと思ったら、現れたのは例の二人。
どちらもニヤニヤしながら雅美を見ており、特に胸、膝の辺りを視姦していた。
「つかさ、この前マネージャー、ここ汚したまま帰っただろ。俺と先輩で後片付けしてったんだぞ? 何? 侘びもなしなの? お前」
「ご、ごめん。ありがと」
視線は落としたまま。というより、原因を作ったのは目の前の男。いや二人とも共犯に近い。
「キャプテン、お前いいから練習行ってろよ、俺らで話し合っておくからさ」
「いや、でもマネージャーももう辞めるって言ってるし」
「だからさ、お前じゃなめられてんだって」
昇は渋る達郎を力ずくで立たせると背中を叩いて追い出し、後ろ手でドアを閉め、鍵をかける。
「まったく、雅美ちゃんは悪い子だね」
「い、いや、来ないで。大声出すわよ!」
声を出したところでどうなるのだろうか?
退部希望者とそれを慰留する部員。
理由は告げず、ただ声を上げたところで、誰が味方をしてくれるだろう。
「まあ、おちつけよ。座れって」
椅子を勧める昇を雅美は見ようともしない。けれど、悟が彼女の肩を掴むと、びくりと震えたあと、それに従った。
「何? もしかして誰かになんかされたとか?」
「しらじらしいわね。あんた達が……」
「先輩なんかしました?」
「いや、俺は雅美ちゃんが日曜の試合サボるっていうから代わりにフェラしてもらっただけだぞ。お前は?」
「俺は部室でフェラしてたの黙っててやる代わりにセックスさせてもらっただけっす」
「な、くぅ……」
二人ともごく日常の行為をこなしました程度の意識で言うので、雅美は驚くよりも先に呆れ、そして目頭が熱くなった。
こんな二人に自分は慰み者にされ、奪われたのかと。