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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!VM-19

 午後3時。たくさんの応援団に囲まれ、選手逹は学校のグランドに戻って来た。
 2回戦は明後日の第1試合。永井は、今日の労いと明日の予定を伝えて解散しようとした。

 その時、達也が手を上げた。

「監督。選手だけでミーティングをやりたいのですが?」

 達也の言葉に、永井は不思議がる。

「おまえ逹だけでって、何なんだ?」
「今日の試合の反省と、次の試合でレベルアップするためのです」

 永井はとなりに立つ葛城の顔を見た。すると葛城は、優しく微笑み頷く。

「自分たちに足りないモノが見えたんでしょう。やらせるべきです」

 その言葉に、永井も微笑んだ。

「分かった。許可する。但し、あまり遅くなるなよ」

 ここで解散となった。
 ベンチ入りメンバーと控えメンバーの計25人が、部室の中へと消えた。

 永井と葛城は、職員室へと戻って行った。

「わたしは幸せ者ですよ…」

 その途中、つい、熱い思いが永井の口から漏れた。

「貴女や藤野さんのような方からアドバイスを受け、子供逹はひとつになって挑もうとしている。
 そんなチームの監督を受けて、わたしは幸せ者です」

 葛城も永井に応える。

「わたしもそうです。著しい子供逹の成長は驚きの連続です。そこに立ち会えて、わたしは良かったと思っています」

 ここまで話した時、頭に一哉の顔が浮かんだ。

「でも永井さん。そのお気持ちは、ここだけにしましょう」
「……?」
「子供逹の前では、今まで以上の厳しさで接しましょう」
「そうですね…」

 永井は、自分に云い聞かせるように何度も何度も頷いた。

「帰りましょう」
「はいッ」

 2人は、笑顔のまま校舎へと消えた。

 その頃、部室では意見が飛び交っていた。

「次は3回の牽制アウトの件だ」

 自分のことが話題となり、佳代はドキリとする。
 達也がリーダーとなり議題を挙げ、どのような状況でミスをしたのか。
 では、同じミスを犯さないためにどんな対策を取るべきかを皆で議論する。

「あの時は送りバントのサインが出ていた。なのに何故、盗塁みたいなリードを取ったんだ?」
「あれは…1度目の牽制でクセを見抜いたと思ったから…早めにリード取ったんだ」

 答える佳代のコメカミから汗が流れる。

「でも、おまえの足ならバントを確認してからでも、十分間に合うよな?」

 今度は直也からの質問。佳代は、だんだん苛立たしくなった。


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