サンタクロース-2
「い、今のは無職って言いかけた訳じゃありませんよ!」
「はいはい、出身地は?」
「横浜です」
「横浜ぁ〜?」
味気ねぇな。サンタ気取るくせに設定のツメが甘過ぎる。
「和製サンタクロースです」
知らんがな。
「外人じゃないサンタなんて…」
「私、外人に見えます?ん?」
ムカつくなこのおっさん。
外人には見えないよ。サンタにはもっと見えないけどね。
「今どこに住んでんの?」
「あそこに」
…おいぃぃぃ!軽自動車じゃねぇかよ!
完全に無職決定でしょ!
「ソリは?」
「今時、ソリなんて流行りませんからね、ヘッ」
一々バカにした態度がムカつく。
「じゃあ何で移動してんの?」
「あれで」
やっぱあの軽自動車か!
絶対一般人だろ。
「トナカイいないの?」
流れ的に犬とか言うんじゃないでしょうね。
「この子ですけど?」
言ったよ!
「犬じゃん」
「夜になると立派な角を生やしたトナカイになるんです」
いきなりファンタジックな設定キター!
そんで胸を張るな、犬。
「あ、そうですか」
「なんですか、その冷めた態度」
「よぉぉっく分かった。あんたが、この不景気でリストラされて家も家族も失ったおっさんであるということが!」
「ししし失礼な!あなたはサンタクロースというものが分かってない!」
「ワン!」
犬、吠えるな!