未少年 5-4
「そんな素振りはなかった?」
「うん……。あ、でもいつも絵を描いてる…」
「絵?」
「うん。きよみょが描きたいっていうからスケッチブックとペンあげたんだけどね。恥ずかしがって見せてくれないんだけど…」
「…それ、やっぱりちゃんと見た方がいいね」
「そうだね…。ちなみにさ、その本とか雑誌で花木潔人が事故に遭ったとか事件に巻き込まれたとか、それで記憶が無くなったみたいなことは書いてなかった?」
「うーん…分かんねぇなぁ。そういうのを読んだり聞いた覚えはないね…」
「そっか…。……あ、きよみょって子供とかいた?」
「いやーそこまでは分かんねーや。彼が結婚してたかどうかも知らないしさ…」
「そっかぁ…」
「なんで?子供いたの?」
「いや、私もよく分かんないんだけど、きよみょのブッ壊れてる携帯の電池パックのとこから小さい女の子の写真が出て来て」
「ふーん…。それは、彼には?」
「…いや…まだ…」
「あむー…しっかりしろよー…」
「うん…」
「まぁ、俺の方でも色々調べてみるよ。花木潔人っていったらその方面では結構有名だったし、俺の他の連れでも彼のこと知ってるやついるかもしれないし」
「鷹丸…ごめんね。ありがとう」
「いえいえ。ま、何か分かったらすぐメールなり電話なりで連絡いれるよ」
「マジで恩に着るわー…」
「あーんー」
「あ、きよみょ。どしたの?」
「あきたー」
「…えっ?」
「あんがあかまるとあそぶからー」
「あっ、ごめんごめん」
「かえろー」
「えっ…あっ、うん。鷹、仕事中にごめんね…」
「あぁ…いえいえ…」
「きよみょ、鷹丸くんにばいばいは?」
「あかまる、ばいばい」
「あっ…あぁ…ばいばい…」
「ほんとごめんね〜…。じゃまたね」
「おうっ」