ピリオド 中編-9
「はッ!…ね、姉さんッ」
生温かい圧迫感がオレのを包む。舌がうねうねと動き、快感をさらに高みへと導いていく。
10年来に受けた亜紀の口腔と舌の刺激に、オレはアッという間に果てた。
「ぐうッ!」
「んん…」
頭の中がスパークした。何度も何度も、自分の中から亜紀の口中へ射精しているのが分かった。
「ふ…ん…」
口元が離れた。
「ごめん…中で出してしまって…」
「でも、そこはまだ欲しがってるみたいね?」
久しぶりの昂りに、オレのは萎えることなく2度目を望んでいた。
「どうする?ここでする。それとも、寝室に行く」
「なんで、こんなことするのさ」
亜紀は再び薄く笑うと、目の前で下着を脱いだ。
「わたしとシタくてたまらないんでしょう。だったら、やらせてあげるわよ。気が済むまで、毎日でも」
オレの前にしゃがみ込み、両手を着いてゆっくりと股を開いた。
「アンタにやれる?わたしをまた、自分の性欲を満たすために犯せる」
そう云って指で拡げた。
(亜紀は、そんな風にオレを見ていたのか…)
亜紀の言葉が、興奮したオレを醒ましてくれた。
「オレはやらないよ」
シャワーヘッドを取り、コックを強くひねる。
「キャッ!」
シャワーの飛沫が亜紀の身体を濡らした。
「何するのよッ!」
「さっきの仕返しさ。ひとのプライバシーを侵害したうえ、変態呼ばわりしただろう」
身体の泡を流しながら、オレの口元は、自然と笑みが出た。
「もうッ、また着替えなきゃならないじゃない」
「干しときゃ乾くよ。どうせ寝る時は外すんだろう」
亜紀はひとくさり文句を云ってバスルームから出ていった。
オレは洗い終わると、再びバスタブで考えた。
あれが本音なんだ。オレのワガママが、亜紀の心を深くえぐって傷付けたのだ。
離婚話はきっかけだ。未だ亜紀への想いを断ち切れぬ、オレに対する非情の情なのだ。
時間は元に戻らないんだ。