The last berry-愁--1
…僕は存在するの…?
本当はいつも心で問い続けていた。
お父さんが見ているのは、『自分の血が入った子供』
お母さんが話しかけているのは、『相槌を打つ人形』
僕じゃない。
僕じゃなくてもいい。
ここに、いるのに。
…ねぇ、見て。
僕を、ちゃんと見てよ。
いつのまにか自分自身も騙して、傷だらけの心を、見た目が綺麗な硬いものでぐるぐる巻きにした。
僕は………ここにいない。
いない。
完璧だと言われ続け、褒められもしたが、誰も僕を見なかった。
『完璧』を維持する為にしていた『普通の努力』を誰も見抜くことはなく、そんなつまらないことで幼かった僕の心は荒み、閉じていった。
僕に大切なものなんか一つもない。
すべていらない。
きっと僕には、愛する心がないんだ。
…人間じゃない?
『ああ、僕はきっと人の形をした悪魔なんだ。』
---君はどうして僕の前に現れたんだろう。
君の様に真っすぐに『僕』を見る人を、僕はもう諦めていたのに。
君は白くて、僕には痛いくらいだった。
…いいさ、この無垢で愚かな純白を、僕のように真っ黒に染めてやる。
僕には愛なんか無いから。
人を傷つけることしかできないんだから。
……
…………
…君と……
………もっと、早く出会いたかった……