白銀のたまご〜パチプロチーコの生活5-5
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シゲルは何も言わなかったが私を抱きしめて眠ってくれた。
いつもなら、眠りこけるシゲルを尻目にそそくさと支度をして今日もホールへと出かける時間になっても私はベッドから出られず、シゲルもなぜかそれに付き合っている。
[ あんた行かなくていいの?
私はもう行かないけど… ]
開店前にシゲルを叩き起こした。
[ 戦国打たないのか?
アレなら稼ぎになるぜ ]
[ ならないわよ ]
[ 何で?打ってないのに、何でそんな事言えるのさ? ]
[ 打ったわよ、7区まで行って… ]
[ えぇっ!いつ?
そんな事ちっとも言わなかったじゃないか ]
[ ボーダーいくらだった? ]
[ さぁ…20ぐらい回ったんじゃね? ]
[ ぐらいって何よっ! ]
パチンコの事になると、すぐムキになる私がいた。
[ いいのよ行っても…
どこまでも私に付き合う事なんかないんだからね ]
[ どういう意味だよ
二人でいてもチーコはチーコ、俺は俺でやってきたじゃん? ]
またナーバスになってしまう…
[ そんなつもりじゃ…ないのよ
あんた行きたいなら行ってきてよ ]
[ いない間にどこかに行くつもりじゃないだろな? ]
[ どこかって? ]
[ いなくならない? ]
[ 行くわけないじゃない ]
シゲルを追い出すようにホールへ行かせた。
(行くわけないじゃない)
私ったら、何でそんな事言ったんだろ?
ここにいる必要がなければ、いつでも私は出て行けるはずじゃない?
何で(行くわけない)んだろう?…