白銀のたまご〜パチプロチーコの生活5-2
とにかく一番の集客力を誇り、いつもなら新機種導入だってどこより早いテネシーを出し抜いて新戦国絵巻2がこっちに入ってしまったのよ。
これでここの営業形態はムチャクチャになる。
いっそしばらく、貯金を食い潰して様子を見ようかしら?…
パチプロとはそんな甘い仕事じゃない。
少しでも目を離せばたちどころについて行けなくなる。
感覚も鈍る…
[ 辞めようと思った今、辞めろ… ]
私は怖い。
パチンコで稼げなくなれば、私には何も残らないじゃない?…
… … … …
シゲルが帰ってきたのは11時のニュースが始まる頃だった。
[ どうだ?チーコは稼いだか? ]
開口一番にいう。
[ 私?…20分で帰ってきたわよ ]
[ なんだ…打てなかったのかよ? ]
[ 戦国絵巻?
そんなの私が相手にするわけないじゃん ]
[ ありゃ…食えるぜ ]
シゲルは上機嫌でスエットに着替えながら同時にトイレに行って、その手でお菓子を摘んで…
さらに、その間もひっきりなしに新戦国絵巻2の良さを熱く語る。
いつもながら器用なものね。
[ バカね…あんたって ]
[ またぁ、すぐにそんな風にいう
新しい台をどんどん打たなきゃ、いつまでもアレで稼げないぞ ]
痛い所をつかれた…
[ あんた、いつも新しい台でも稼げないじゃない ]
[ 勝ってるさ…たまに
そりゃぁチーコみたいに… ]
そこでシゲルはそばに来て私の顔を覗き込んだの。