白銀のたまご〜パチプロチーコの生活4-6
[ これっきりだぜ…
もう忘れろ、それから…
ヤツには近づくな ]
[ いいのよ、大勝ちしたところを狙われたのよ
私も返してもらおうと思ってないし… ]
絶対に受け取れなかった。
なぜ、シンちゃんが払わなきゃならないのか分からないけど、私はシンちゃんから受け取れない。
[ いいか…止めようと思った今、止めろ
でなきゃ… ]
パチプロからは一生足が洗えない?
それはわかってる。
でも、これを止めた私に何が残るのかしら?
[ ウチコ使うって…
たいへんなんでしょうね ]
[ この世界には確実なんてものは存在しないんだよ
人も台も…
確実だと思った台が出なきゃどうする?
全滅する日もあるし、ウチコにだって持ち逃げされちまうかも知れない ]
そうか…
私は甘く考えていた。
シゲルみたいなウチコだったら、きっと信用できない。
何十万も使って全滅だってあり得る。
[ わかったわ…
でも、私は止めない ]
[ そうか… ]
さっき立ちかけた時にショルダーバックを担いだまま、腰が落ち着かなかった。
[ ねえ、抱いてよ ]
あんなヘンな映画見たから、逆にそんな気分じゃなかったんだけど…
でも、シンちゃんが抱きたいといえばイヤとは言わなかっただろう。
今は…
何だかシンちゃんが遠い存在になってしまうような気がした。