白銀のたまご〜パチプロチーコの生活4-4
せっかく感傷に浸ってたのにヨコケンのせいで台無しだ。
でも、こうして余所のホールに来て自分は打たないで喧騒だけ聞いていると、まるっきり別世界にいるような気分になる。
… … … …
シンちゃんに会えたのはそれからしばらくしての事だった。
それも今日はたまたまで、普段は朝一番と夕方にしか現れないようだ。
[ 電話すりゃいいのに… ]
そうは言ったが、私はウチコを使ってる様子が見たくてわざと抜き打ちをかけたのよ。
しばらく待っててくれというと、シンちゃんは缶コーヒーを何本も買ってホールに入って行った。
ウチコに配って回るのだろう…
コミュニケーションを大切にするシンちゃんらしい社長ぶりだ。
[ 何だよ?改まって用って… ]
隣にあるセルフのコーヒーショップでシンちゃんはにこりと笑って話しかけた。
[ あのさ…私もウチコ雇いたくて… ]
ふぅっと煙を吐くとまだ長いタバコを灰皿に揉み消した。
[ 誰に聞いたんだ? ]
[ シゲルが言ってたのよ
シンちゃんはもう自分で打たないって… ]
[ 他に知ってるヤツは? ]
[ さぁ…私はしゃべらないわよ ]
[ だろな… ]
シンちゃんはしばらく何か考えていた。
聞かれるとマズい事なんだろうか?
公に言える事でもないだろうけど…
[ この前サワちゃんに会ったわよ ]
私は重い空気になるのを避けて話題を変えた。
シンちゃんに迷惑になる事なら私は無理にとは言わない。