続・僕はHな管理人-3
『…管理人さんは、確か…え〜っと…』
そこまで言うと、彼女は恥ずかしそうにうつむいてしまった。
「ん?もしかして―――Hな悩みごととか?」
僕は彼女の気持ちを察し、助け船を出した。
『…うん…実はそうなの』
「―――もしよければ…話だけでも聞きますよ」
僕は唯さんの緊張を少しでも解きたいのと、自分自身を本来の仕事モードにシフトチェンジする為、とびきりの笑顔を作り、弾むような明るい声でそう言った。
これが決め手となった!
唯さんの顔がパッと華やぎ、目元には僕を誘うような魅惑的な憂いが浮かんだ。
『彩音ちゃんに聞いたのよ。管理人さんの秘密のお仕事…あっ、零くんて呼んでもいいかしら?』
「零でいいよ!」
『ありがと…零。…彩音ちゃん言ってたわ!零は、すごく優しく願いを叶えてくれたって…』
「あ…そ…そう…」
唯さんの口から彩音ちゃんの名前が出た途端、僕は浮気現場を見られた彼氏のような気分になり、たちまち動揺してしまった。
明らかに変化した僕の態度に、目の前の唯さんの表情がサッ…と曇った。
『私じゃダメかな?彩音ちゃんみたいに可愛くないし…だから、付き合ってた彼にも振られちゃって…』
唯さんはそこまで言うと、なんと!大粒の涙をポロポロとこぼし始めたではないか―――?!
「唯さん、辛かったんだね…その彼のこと本当にスキだったんだ…?!」
唯さんは黙ってコクリ…と頷いた。
そして、絞りだすような切ない声でこう言った。
『彼の記憶を消すために…1度だけ…零に抱かれたい…』
―――と。
僕はソファーから立ち上がり、唯さんの座る足元に膝まずくと、そっと手のひらで唯さんの涙を拭った。