白銀のたまご〜パチプロチーコの生活3-11
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恥ずかしい事に私はなんと…
小一時間もひとりでオモチャと遊んでいたわよ。
おかげさまでちょっとは気が晴れたけど、へんな匂いついちゃったんじゃないかと思ってお風呂場に連れてって石鹸で丁寧洗ったのね。
特に後ろのツノは念入りに。
そしたらさぁ…
今度は石鹸の匂いがついちゃってさぁ。
どうしよう?
取れないのよね…
石鹸の匂いって。
困ったなぁ…
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本当にどうしようか?と思った。
今日もやっぱりお務めにはいかなきゃならない…
行ったら、私があげた3万円までスッテンテンになって途方に暮れるサワちゃんに会いそうで…
今夜だけは臨時休業にしたかったけど、私はプロなのよ。
どんな事があっても次に繋げなきゃ、今までしてきた意味がないじゃない?
ホールにサワちゃんの姿はなかった。
私がホッとして帰宅して、データをまとめて明日の台をはじき出してるとシゲルが戻ってきた。
もうひとつの課題がまだ残ってるわ…
[ 遅かったじゃない…
キャバクラでも行ってたんでしょ? ]
シゲルはチラッとこっちを見てベッドに腰を降ろすと、ふぅっ…とため息をついた。
やはり格好悪いのか、鼻のキズテープはなくなってた。
[ 違うよ…最終までネバってた ]
[ あら?いたの?
データ取るとき気づかなかったわ ]
[ いや、駅前さ… ]
[ えぇ?何で?
何でわざわざっ? ]
シゲルは拗ねたような目で虚ろに正面を見つめていた。
[ 駅前は等価換金だろ…
そうでもしなきゃ間に合わないさ ]
負けたんだ…
シンちゃんのいう、負けた人間の目だ…