運命の人-3
「どんな夢…見てたの?」
『ん…由里子の夢…』
「私の夢?」
『そう…もうずいぶん前からかな?同じ夢ばっかり繰り返し見てる。…由里子がさぁ…遠くに行っちゃうんだよ…俺の手が届かない遠くに―――』
先生は、今しがた見た夢を思い出したのか…哀しげな色を瞳に浮かべ、私を見上げた。
「しっかりしてよ先生っ!私はもうどこにも行かない…ここにいるよ!!」
『…うん、来てくれてありがとな。由里子が看病してくれたんだ?』
「うん。さっきはすごい熱で驚いちゃった。でも今はだいぶ落ち着いたみたいだね。顔色もいいし…」
『ぁあ…眠ったら嘘みたいにスッキリした。由里子?それ、飲みたい…』
先生はそう言って、私の持っていた水のグラスを指差した。
「うん。1人で飲める?」
『せっかくだから、由里子に口移しで飲ませて欲しいな…』
先生は思いっきり目尻を下げて、照れ臭そうに笑いながらそう言った。
わぁ〜、先生の甘えた顔なんて、私初めて見たよ!
先生って、こんな無邪気な顔もするんだっ!
学校では絶対に見られない先生のくだけた表情―――