未少年 2-4
「あー…あ、そういえばバッグ持ってたよね。ちょっと見せてよ」
「…ん?」
「そうそれ…どうも」
おっ、このバッグ○○○○のじゃん。金持ってんなー…。
で…財布と…あ、携帯あんじゃん。あーでもこの携帯ボロボロだなぁ…。
財布に免許証は…あっ、見付けた。
げっ…私より一つ年上…23だし…。
てかいきなりこんなに中身見られてるのに…どうして止めないの?
何も言ってこないの?
「……花木潔人…はなききよひとって名前なんじゃん」
「…そうだよ。きよみょ」
「きよみょ…あー、“きよひと”で“きよみょ”ね」
「……たぶん…」
「多分?」
「……そうよばれるからそうなんだとおもう。でも……おぼえてない…」
覚えてない?
………もしかして…この人…。
「ねえ、潔人…きよみょ、今日が西暦何年か分かる?」
「…………んー……」
「じゃあさ、何曜日かは?」
「………なんよー…」
「じ…じゃあさ、自分の誕生日は?」
「…ろくがつ…」
「…免許証だと8月だけど…。じゃあ…今の住所は?」
「…んー……ん……」
頭を抱えて深く考えてるんだろうけど、苦しそうだし…辛そう…。
「あ…きよみょ…ごめん、無理しないで…。ごめんね…」
「…うん」
きよみょ、この人もしかして記憶…記憶障害ってやつ…?