……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-32
*―*
「なんか、緊張するね」
「ああ」
「ウソ。いつもしてるんでしょ? 私に隠れて……」
「ごめん」
笑った後、うつむく仕草。はやる気持ちをくじく言葉に心が萎える。
「ね、みんなとはどんな風にしたの?」
「どんな風って、そんなこと」
浴衣を開き、生脚で紀夫に触れる里美。
「理恵のこと、後ろからいじめたんだって?」
「うっ」
彼女の手が彼のお尻、ジーパンの後ろポケットに触れる。
「キャプテンとはホテルでしょ?」
そして背中に移動。
「綾とは保健室」
嫉妬深く爪を立てる彼女。
「おじょうちゃま先輩とは合宿中」
彼の懐に飛び込み、胸の中心に耳を当てる。
「ずるい」
「ごめん」
「んーん、紀夫じゃない。みんながよ」
矛先は別に向いている。けれど、赦されたわけでもない。
「どうして」
「だって、私が一番君の近くにいたのにさ、いつの間にかみんなにつまみ食いされてるじゃない」
「つまみ食いって俺がされたの?」
「そうよ。君みたいな優柔不断で断れない、同情とやさしさを混同しちゃうしたっぱ君が、もてるわけないでしょうが」
「そんな言い方」
顔を上げた里美は代わりに人差し指で彼の胸をつつく。
「たくましくないし、背丈だって私とどっこいどっこい。お金だってある? バイトしてないもんね。まさか顔とか言わないよね? 君なんてふつーだよ」
そしてまた胸に沈む。
「私ぐらいだよ。君のこと、見返り無しで好きになる子なんてさ」
「里美さんだって、俺のこと使ったじゃないか」
「んーん、あれは使ったうちに入らないの」
「どうしてさ」
「そう決めたから」
「ずるい」
「んーん。ずるくないの」
「どうしてさ?」
「そう決めたから」
「そんな」
「もういいじゃん。キスしてよ。ねえ、この前みたいにさ」
一方的にまくし立て、目をつぶり、唇を差し出す彼女に、紀夫も目を閉じて前にかがむ。
「ん、んぅちゅ……」
「はぅ、んちゅ、ちゅる……」
この前のキスみたい。
そんな約束は彼女の方から破ってきた。
「んはぅあ、はむぅ、んちゅちゅ、ちゅうぅ……」
互いに舌をむさぼりあい、隙有らばねっとりとした気持ちを交換し、鼻の頭をこすりつけあう。