想い溢れて-1
―――2月
みなみの死から半年近くが経ち、俺はようやくみなみの幻影から解放された。
結局、進路指導室での一件以来、由里子ともきちんと向き合わないまま、月日だけが流れてしまっていた。
その後、由里子と神木の寄り添う姿を見かける度に、俺の胸は、張り裂けんばかりに痛んだが―――
2人の交際に口を差し挟む権利なんか、むろん今の俺にはなかった。
そして、神木と由里子が揃ってアメリカ留学を希望している今―――
それを黙って応援し、見守ってやることが、教師としての俺の責任なんだと…
俺は、何度も何度も、そう自分に言い聞かせていた。
♯♯♯
由里子達3年生の卒業式まで、1ヵ月を切ったある日のこと。
俺はうかつにも体調を崩してしまった。
昨日の朝から、頭が割れんばかりの激しい頭痛に襲われ、俺は痛み止めを常用ししのいでいた。
しかし夜には、頼りだったその薬も効かなくなり、割れそうな頭を抱え、結局一睡も出来ないまま朝を迎えてしまった。
俺は仕方なく学校に病欠の連絡を入れた。
教師になって以来、初めてのことだった。