祐介の決心-1
―――1月
クリスマスから年末年始にかけて、冬休みのほとんどの時間を、俺は由里子と2人で過ごした。
初雪にざわめく街が、いつもと違う景色に染まっても、由里子はただぼんやりと、遠い瞳で舞い落ちる雪を見つめるばかりだった―――
「さむい…」と、俺の腕にしがみついた由里子を胸に抱き、冷えきった体を温めてやることは出来ても、失った心は、どこを探しても見つけられない。
それがもう…だいぶ前にアイツの元へと、飛び立ってしまったこと―――
俺は気付かない振りをして、グッと奥歯を噛みしめてきた。
抱き寄せて、キスをして、体を重ねても、由里子のせつない吐息だけが宙を彷徨い―――
時折発する、由里子の狂おしい程の喘ぎが、俺を破滅へと導いていく。
何度試してみたところで、お互いに深く深く…傷ついていくだけだった―――
―――校舎の屋上へと続く踊り場で、泣きじゃくる由里子を胸に抱いたあの日から、由里子の笑顔は俺の前から消えてしまった。
あの、俺だけに向けられた愛しい笑顔が、もう俺の元には2度と戻らないこと…
あの時から分かっていたんだ。
由里子の心が飛び立った先へと、由里子自身を解き放ってやることが、今の俺に出来るたった1つのこと―――
そろそろ、決断しなければいけない時期がきているのかもしれない。
そうしなければ、俺も由里子もきっと、このままダメになってしまいそうだったから―――