祐介の決心-3
「佑介はいつもそうやって優しくて、私がどれだけ佑介から元気をもらったか…形として見せられないのが残念なくらいだよ。その分、佑介には哀しい想いをたくさんさせちゃった気がする…」
『そんなこと由里子が気にすんなよ!俺が好きでそうしてやりたかっただけなんだからさ…』
「ありがとね…佑介」
由里子は涙が乾いた瞳を輝かせ、笑顔に代えてこう付け足した。
「でもね、これだけは佑介に覚えておいて欲しいの。私は、本当にいつも佑介の優しさに守られてきたの。だからこうして今、生きてここにいられる…ってこと」
『あぁ、ちゃんと覚えとくよ!』
鼻先にツンッときた痛みを由里子に悟られないように、俺は上を向いたまま片手を挙げて由里子と別れた。
これが…恋人同士としての、俺達の最後になった。
明日から、俺の隣に由里子はいない…
そう―――
お互いが別々の道を行くんだ。
自分で決断した別れにも関わらず、俺はこの現実を受け入れることが出来るのか?
不安で不安でたまらなかった。
だけど、新たなスタートを切った以上、ここに立ち止まっている訳にもいかない。
俺は、自分の折れた翼を精一杯広げ、飛び立つ準備を始めなければ…
たとえ、これからの2人のはばたいていく先が違っても、由里子の進む空がいつでも希望に溢れ、どこまでも青いだけの空であることを―――
俺はただ…
心の底から祈った…
さよなら由里子!!
永遠に愛しい人―――
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― P
「佑介の決心」―完―