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ヒミツの伝説
【学園物 官能小説】

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ヒミツの伝説-2

「2対3で勝ってるんだ。向阪、ノビノビいこう」
 キャプテンの朱川が声をかけた。せっかく奈月が応援に来たのに、弘志はここまですべて凡退。今日もまったく打てないのだ。この打席も、既にカウントはツーストライクと追い込まれている。
 ピッチャーはニヤリとして、ど真ん中に投げた。思い切り振ったバットは宙を切った。
「スリーストライク。バッターアウト。チェンジ」
「あーあ、だめだな…」
 朱川がイライラしながら言った。どうしても自分の思うとおりにならないバットに、弘志は明らかに焦っていた。
 結局この試合、萬町高校はなんとか一点差で逃げ切った。しかし、弘志の気持ちは晴れない。
「まるで扇風機だねぇ。ここまで涼しい風がくる。」
 相手チームの選手の揶揄が耳によみがえってくる。しかし、それ以上に弘志にとってこたえた物があった。
「弘志、最近ダメだな…」
「彼女ができてからだよな…」
「野球に身が入ってないんじゃないか…」
 それは、萬町高校のチームメイトたちの、そんなひそひそ声だった。
 球場を出たところで、奈月が待っていた。
「じゃあ、先に行くぜ。」
 キャプテンの朱川が言った。チームメイトたちは、弘志と奈月を二人残して帰って行く。
 黙ったまま並んで歩く二人。弘志の視線がふと、手にしたバット・ケースに向けられた。宮内から聞いたの「伝説」を思い出し、奈月の陰部にバットを挿入する様子が脳裏に浮かぶ。
「どうしたの?」
「いや…、なんでもないよ。」
 弘志はぎごちない笑みを浮かべた。まともに自分の顔を見ようとしない彼の様子を見て、奈月は一つ大きな深呼吸をしてから、ポツリと呟いた。
「…いいよ、私、しても…」
「え?」
 奈月の足が止まる。弘志が振り返ると、奈月が思い詰めた表情でこちらを見ていた。
「宮内監督から聞いたの、萬校野球部の伝説…」
「でも…、そんなこと…」
 言葉を失っている弘志を追い抜き、ゆっくりと歩きながら奈月が言った。
「そんなの馬鹿馬鹿しいし、迷信だと思う…。でも、弘志クンの力になれるなら、私、何でもしてあげる…」
 奈月の言葉は、弘志の胸を熱くした。

 翌日の放課後、野球部の部室に奈月がやって来た。弘志と宮内を残して、他の部員は全員帰った後である。
「よく来てくれた。笹野、決意してくれて、ありがとう。」
 宮内が立ち上がり、うれしそうにそう言った。弘志も奈月を見て微笑んだが、すぐに、ばつの悪そうな表情を浮かべて手にしたボールを弄り始めた。
「ちゃんと手順を踏んで練習しておかないと、笹野に怪我させることになるからな…」
 宮内の言葉に、ベンチに並んで座った二人は真剣な表情で頷いた。
「大丈夫だ。俺がコーチしてやるから。」
「はい…」
 不安そうに手を握ってくる奈月の手を握り返して、弘志が返事をする。その声はわずかに上ずっていた。
「よし。それじゃあ、まず弘志、笹野とセックスしろ。」
「えっ!」
 いきなり言われて、弘志と奈月が同時に声をあげた。
「まさか処女のアソコにバットを突っ込むわけにはいかんだろう。」
「わかりました。じゃあ、近いうちに…」
 弘志がとりあえずその場を逃がれようとしてそう言うと、宮内が厳しい表情で言葉を続けた。
「違う!今、ここでするんだ。」
 弘志と奈月が思わず顔を見合わせる。二人とも耳まで真っ赤になっていた。


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