双子の姉妹。 2-5
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「……なぁ、テレビでも見ないか?」
「いつもご飯のときは見てないじゃん」
「いや、なんつうか…」
空気が重いです、はい。
普段はおばさんが何かしら話題を振って、みんなで話しているが今日はそれがない。
琴音は黙々と食べてるし、食事を始めてから会話が全くない。
こんなんだと嫌でも昨日のことを思い出して意識してしまうんだが。
「…こ、琴音は家庭教師がない日は何やってるんだ?」
とりあえず仕方なく琴音にパス。
「ほとんど家に帰って勉強だけど、たまには友達と遊ぶよ」
「そうなのか」
「……」
「……」
「…ま、麻琴は?」
「家に帰って雑誌読んだりテレビ見たり音楽聴いたり、あたしもたまに友達と遊ぶけど、平日は大体家かな」
「そうなのか」
「……」
「……」
しーん。
やっぱりおばさんってすごいと思う。
「俊哉は何やってるの?」
麻琴がふってくれた。
「俺か、んー…」
何もやってねえ…
「せんせは休みの日、一日中寝てそうだね」
琴音が笑いながら言った。
「もしくは、あの女とデートだよねー」
麻琴が嫌みったらしく言う。
そんな粘着質なのかお前は。
つーか、香織とのあれってデートっていうのか?
「せんせ、大学はどうなの?」
「あ、あたしもちょっと気になる」
「大学か、んー…」
あれ…何も出てこない。
「俊哉ってつまんないねー」
麻琴が溜め息を吐きながら言った。
全く持ってそのとおりです。
微妙な空気のまま、櫛森家を出る。
「うお、さみい」
夜はすっかり寒くなってきた。
「もう受験シーズンか」
体を刺すような風は、もうすぐそこまでやってきている冬の到来を感じさせた。