双子の姉妹。 2-4
リビングでは、麻琴がテーブルについてペンを握っていた。
その先には、問題集。
あの分厚さは、どこかの大学の過去問題集だな。
あいつ…しっかり頑張ってんだ。
さっきは悪いこと言ったな。
それにしても、うーうー唸ってるところを見ると、かなり苦戦してるみたいだ。
いちおう家庭教師だし、すぐに手を差し伸べたくはなる。
だけどあいつは俺に黙ってやってるんだ。
あいつが相談してきたら、しっかり助けてあげよう。
考えがあるわけでもなく、ただ意地を張っているだけでないことをひたすら祈る。
「あぁー!腹減った!」
大きな声で言う。
よし、もういいか。
少し間をおいてからゆっくりとリビングに入る。
問題集はしっかり隠してるな。
「琴音、ピザだってよ。よかったな」
「な!なにがよかったのよ!」
「お前もピザって言ってたじゃん」
「…俊哉、最近なんか意地悪だわ」
「お前が言うか」
「…じゃあ電話しとくから」
「おう、頼む。あ、でっかいやつだってよ」
「了解」
それだけ言って二階に再び上がった。
麻琴も頑張れ。