双子の姉妹。 2-2
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「こんばんはー」
大学を終えて、本屋で時間を潰してから今日も櫛森家へ。
言い忘れてたけど、この家族の名字は櫛森。これでくしもりっていう変わった漢字の名字だ。
ちなみに俺の名字は木嶋、いたって普通。
「よう、麻琴」
「あ、俊哉」
よしよし、一晩経てば流石に平然としている。
いや呼び捨ての時点で平然とし過ぎだ。
「おばさんは?」
やたら広いリビングを見渡すがおばさんの姿はない。
「今日は遅くなるって。新商品の展示会の準備」
「そっか」
「だから今夜は店屋物だね。どうする?ピザでも頼む?」
「もともと俺は決められる立場じゃないし、食い物のことなら琴音に決めさせてやれよ」
「ちょっと!なんで琴音なのよ!あたしに決める権利はないの?」
眉をキュッと寄せて怒った顔を見せる麻琴。
うん、可愛いことは可愛いんだけどな。
って、意識すんな俺。
「お前はすぐダイエットとか言って食い物にケチつけるだろ。琴音は普段勉強頑張ってるんだから決めさせてあげていいだろ」
「うぅーっ!あたしは頑張ってないって言うの!?」
「頑張ってはいるけど、お前は基本、定期テスト対策の勉強だもんな。つーか、お前は受験どうするんだ?」
「ちゃんと受験のことも考えてるわよ!」
昨日のように顔を赤くして怒る麻琴。
ちょっと言い過ぎたか。
「そうか、ならいいんだ。じゃあ琴音の勉強見てくる。ついでに何食いたいか聞いとく」
「……ふん!」
あー、完全に怒らせちまった。