エリザベスシリーズ・ファイナル-1
マルシアの葬儀も終わった。
ジャックにとって寂しい思いである。
長年、慕っていた相手だったから尚更である。
だからと言って、いつまでも寂しい思いはしていられない。
屋敷や財産一切をマルシアの妹であるサラ・クルーが引き取ってしまうからだ。
それでジャックは用がなくなり、屋敷を出なくてはならないのだ。
その後、ジャックは人形協会が用意してくれていた専用のアパートに居を構えている。
新居にはルーシーや28人の子供たちが同居する事になった。
チュチュ、ミュミュ、ルアー、メメ、クク、スィーツ、ヒュヒュ、ピンク、ミルク、ララ、カトリーヌ、ローン、ポポ、ニュニュ、ピピ、プリン、ププ、ペコ、サリー、ポルン、レモン、ビーズ、エリカ、コゼット、ハイジ、セルラ、リリー、キラキラたちだ。
それにあと1人…
人形協会の医務課に収容されているキディも加わる。
ジャックやルーシーからの要請を受け…
スザンヌはすぐに、子供たちの人形学校入学手続きを始めた。
ジャックは人形協会の業務部勤務が決まった。
人形たちの生活状況の把握や生活相談、子供人形の新製受注…等々。
人形たちに関する重要な仕事に就く事になったのだ。
男38歳…ジャック・グロリアス。
人生にますます、充実感が増して来た。
さて…
残るのはキディなんだけど…
しばらく気絶していたキディは意識が回復した途端に…
「ウィアンッ!! ウィアンッ!! ウィアンッ!!」
狂ったように七転八倒しながら泣く泣く!
全身を襲う激痛と、恐怖(母親から虐待を受けた)にパニック状態になっているのだ。
「おいキディ! 落ち着け! 落ち着け!」
ジャックがキディを抱き上げて必死になってあやすが、キディは泣き止まない。
子供人形の扱い方には慣れているジャックも、手が付けられないのだ。
「キディ! キディ!
安心しなさい! もう、何も心配ないわよ!」
スザンヌも一緒になってあやすけど、キディは暴れて泣き止まない。