エリザベスシリーズ・ファイナル-2
「参ったよなァ!」
さすがのジャックも、お手上げ状態である。
キディは自分の人形用ベッドで暴れた挙げ句、掛け布団にくるまった。
なかなか、泣き止んでくれないようだ。
「あれだけ滅茶苦茶に暴力を受けたのですから、ちょっとやちょっとでは、泣き止まないと思いますわ。相当、ショックと大きいと思いますわ」
ガーレットの言う通りかもしれない。
自分の胸元に体を寄せたまま泣き続けるキディを、ジャックは困った表情であやすだけだ。
「ウィアンッ!! ウィアーンアーンアーンッ!!
ウィアーンッ!! ウィアーンッ!!」
「おーいキディ、もう泣き止んでくれよなァ」
ジャックもホトホト、参っている。
するとそこへ…
「ジャック、ジャック」
誰かが部屋に入って来て、ジャックに声をかけて来た。
振り向くと…
「エリザベス様! どうして、こんな所に!?」
エリザベスの思いがけない来訪にジャックは驚き、背筋を伸ばした。
彼(か)の国を代表する女性がこんな場所へ来るなんて、珍しい。
いったい、どうしたのだろう?
実はエリザベスも、人形学校で学んでいた。
今でも関係者の間で語り継がれているぐらい、とっても優秀な生徒だったのだ。
だからと言って、メルファみたいに気取ったりはしなかった。
(学生時代のメルファは成績悪いクセに、自分を偉く見せる事だけは立派だった)
とても気さくで親しみ易い性格だったから、友達も多かった。…
当時、人形学校で裏方の仕事をしていたジャックとも親しかったのだ。
そのエリザベスは学校卒業後…
彼の国の政府からの要請で、虹の理想郷に移り住んだ。
エリザベスの実績と人柄(人形柄?)に買われたのだ。
そして現在、エリザベスは虹の理想郷にある人形国ホワイティでは、位の高い要人の1人。
馴れ馴れしく接する事はNGである。
なのに…